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「自己破産の手続」に関するお役立ち情報

自己破産の手続きと財産隠し

  • 文責:所長 弁護士 湯沢和紘
  • 最終更新日:2022年3月18日

1 自己破産における財産隠しの問題

自己破産をする際、手元財産は原則換価(売却等して現金化)し、破産法上のルールに従って平等に分配されます。

これを避けるために財産を隠そうとすることには問題があります。

2 免責不許可事由に該当する

債務者が自己破産手続きを申立てることによる最終的な目的は、債務の支払い義務の免除を裁判所に許可してもらうことです。

これを、「免責許可決定」と言いますが、財産隠しは、文字通りこの免責を許可できない事情となります(破産法252条1項1号)。

つまり、返済義務を免除してもらい、破産後も利用できる財産を残そうと画策し、これが発覚した場合、借金の返済義務が免除されない可能性があります。

3 罪に問われる可能性がある

破産法265条は、詐欺破産罪という刑事罰を規定しています。

10年以下の懲役、1000万円以下の罰金という比較的思い刑罰が規定されていますが、さらに懲役と罰金が併科される場合もあります。

4 過去の行為も問題となる場合がある

一口に「財産隠し」といっても、現金等の資産を開示せずに申立てをするだけにとどまりません。

例えば、「自分はもう破産する予定だから」といって、自己所有名義の不動産を無償あるいは不当に安く親戚や知人等に譲り、申立て時点では手元に財産がない状態にしてから破産をすること等も、適用される条文等が変わるものの、免責不許可事由に該当する場合があり、詐欺破産罪に問われうることという問題は変わりません。

過去に裁判で問題となった事例としては、離婚による財産分与を隠れ蓑にして配偶者に財産を譲り、無一文であるとして行われた自己破産申立てが、実質的な財産隠しにあたるものと判断されたもの等があります。

過去の行為については、否認権行使の対象となる場合もあります。

過去に無償で不動産を譲った事実等を否認することにより、不動産をあらためて申立人の所有物であるものとして換価、配当することが可能とされています。

5 財産隠しはやめましょう

当たり前ですが、財産を隠匿しての自己破産には問題しかありません。

自己破産したからといって、必ずしも無一文になるわけではなく、一定の範囲では自由財産拡張等も認められますので、まずは弁護士にご相談ください。

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